グラフィックデザイナー歴約18年、現在フリーランスのマドリトです。色々あったけど、グラフィックデザイナーで良かったと思うし、芸術系の職業の中では現実的でなりやすい職業。一部の意見で「やめとけ」と言われる気持ちも分かるし、人を選ぶ職業だと思います。
グラフィックデザイナーやめとけ、というのは基本的に制作会社だけの話。その他にはあまり当てはまらないということ。制作会社以外って何があるの?
詳しく解説していきます。
グラフィックデザイナーやめとけ、といわれる理由【←ほぼ制作会社だけの話】

グラフィックデザイナーやめとけ、といわれる3つの理由
- 労働時間が長い
- 給料が安い
- 精神削る
職業柄、デザイン制作会社であれば、この3つは基本的についてきます。どの程度なの? と不安に思われると思いますが、程度は会社によって本当に様々。夜8時くらいの会社もあれば、毎日深夜という会社もある。ブラックな会社に当たらなければ、実はそれほとキツくない。(ブラックな会社を避ける方法はあります。ページ下部へ)
制作会社以外の選択肢もありますが、ふつうは最初に制作会社を経験することになるので、ある程度我慢してでもデザイナーになりたい、ていう人じゃないとグラフィックデザイナーになるのは難しい。
残業や嫌とか、稼ぎたいな。という考えの人はグラフィックデザイナーに向いてないです。(将来的に定時で帰れる職場や、楽できる進路はありますが、最初の数年は残業と安月給に耐える必要がある)
くわしく解説していきます。
理由1:労働時間が長い (拘束時間が長い)

グラフィックデザイナーに限らず、映像クリエイターだったりWEBデザイナーだったり。クリエイティブ系の職業は、基本的に同じような状況に陥ります。質を高めるあまりに、残業してしまう。
定時で帰る奴は、やる気がない奴。というムード。
そういうムードがある職場が多いのが現実。でも実際、質を追求してたら時間がかかるのは事実だし、先輩方がそう言うのも分かる気はします。特に駆け出しの頃はデザインも下手で要領も悪いので、必然的に時間がかかってしまうもの。最初は時間かかってでもデザインを学ぶ期間なので仕方ないと思います。
この拘束時間の長さが、やめとけといわれる理由の1つ目です。
労働時間の長さは、制作会社に居る以上縮まることはほぼ無い。仕事が早く終えられるようになっても「空いてる人」だと思われて、新しい仕事振られます。
仕事が効率良く進められるようになったら、
さっさとフリーランスを目指したほうがいいです。
自分は今フリーランスになりましたが、仕事は早いので空き時間はすごく多い。フリーランスは、やったらやった分だけ収入になるけど、会社員はいくら仕事量こなしても給料に反映されません。
ただ、制作会社はフリーランスでは体験出来ない規模が大きい仕事ができるので、給料が安くても、仕事が深夜になっても、とにかく大きい仕事がしたい。デザインが生きがいだから苦じゃない人は、制作会社に在籍しているのが向いてます。
理由2:給料が安い

フリーランスになって分かったのですが、仕事量に対しての会社員の給料は安すぎる。
グラフィックデザイナーの給料が安すぎる理由
- 安い仕事を受けてる
安い仕事は本当に安い。安い仕事に限って納期も短かったりする。 - 金額に見合わない品質の追求
制作会社は、どんな安い仕事でも品質を追求される。間に上司を挟む分、面倒なくらい質を上げないと提案できない。 - マージンを多く取られてる
当然会社を経由して仕事をしているので給料制。仕事量は関係ないですね。数百万の仕事をしても、会社の利益になるだけで、月収の変化はありません。
どれかだと思います。フリーランスになって直接やり取りするとリアルな金額が分かるのですが、いかにマージン取られているかが分かると思います。会社員時代の給料分くらいなら、夜中まで仕事なんてしなくても全然余裕でやっていけます。
制作会社は長く居る場所じゃない。知識や技術やコネを手に入れる場所。数年は耐えて、フリーランスを目指す意識でいたほうがいいです。
理由3:精神を削る

精神を削る理由はいくつかありますが、その中でのグラフィックデザイナー特有の特徴的なものをピックアップします。
精神を削る原因
- 修正の多さ、やり直しは当たり前
- 納期前の緊張感
- 最終データのミスは絶対に許されない
- 社内の上司のOKが全然出ない
修正の多さ、やり直しは当たり前
グラフィックデザイナーはオーダーメイド商品なので、何度も何度も修正が入ります。他の職業だとここまでのやり直しはあまり無いのではないでしょうか。練りに練って、考え抜いて作った最高の案も、簡単にボツになることは当たり前。何度も心が折れそうになります。修行のように感じることも多い。
担当者や会社の性格や信頼関係などによって、修正がすごく少ないこともあります。そういう取引先は大事にしたいですね。
納期前の緊張感
また、納期が迫って、締め切りまでのヒヤヒヤすることも多い。最後の最後まで修正が入り続けます。最後のタイミングで大きな修正が入ることがあり、大幅変更の上に時間がない!なんてことはめずらしくない。
最終データのミスは絶対に許されない
細かい文字チェックなどは外部の人が確認してくれたりしますが、データそのものを印刷会社に渡す最終データはデザイナーが管理します。そのデータにミスがあれば、下手すれば何万部も間違ったものが出来上がってくるという怖さがあります。最終データはミスがないように細心の注意を払うので、かなり神経を使います。
社内の上司とデザインの相性が悪いと最悪
これは一度経験したことがあるのですが、配属先の上司が自分と全然相性が合わない。いくら案をだしてもダメ出しばかりされる。どうでもいいような会場案内パネルのデザインが1ヶ月OK出なかったのは、永遠に終わらなかった
フリーランスやインハウスデザイナーは別物。土日休みで定時終わり。

基本的にフリーランスとインハウスデザイナーには、やめとけルールは当てはまらない。ただし、精神を削るものは、一部いくつか当てはまるものがあります。
グラフィックデザイナーが避けられないこと
- 修正の多さ(制作会社の時よりは圧倒的に少ない)
- 納期前のヒヤヒヤ感(制作会社の時よりは圧倒的に減る)
- 最終データのミスは絶対に許されない
これらはグラフィックデザイナーである以上避けられないけど、フリーランスやインハウスデザイナーになれば、程度がかなり減って楽になります。
グラフィックデザイナーでも避けられること
- 労働時間の長さ
- 仕事量に対しての収入
- 上司のOKがなかなか出ない
これらは自分次第なので、やり方によっては確実に楽になります。
経験:制作会社、インハウスデザイナー、フリーランスのリアル労働時間と収入

参考までに自分の、制作会社時代、インハウスデザイナー時代、現在のフリーランスの状況をお伝えします。
制作会社時代
- 労働時間
9:30出社~22時退社(時々土曜の出社) - 給料
月15万 - 忙しさ
適度な仕事量だけど、上司のOKが全然出ないのが苦痛。意味もわからず帰りが遅い。(上司が帰らないので帰りづらい)
大手インハウスデザイナー時代
※自分はアルバイトだったので、社員給料の情報は、上司に飲みの席でこっそり聞いた話です。
- 労働時間
バイト・社員:10時出社~18時退社(土日祝休み)
※まわりの社員の方もみんな定時で帰ってる。 - 給料
バイト:時給1000円/社員:制作会社より高収入
※社員の情報は上司に聞いた - 忙しさ
バイト:暇/社員:一般的な会社員と同程度
自分はアルバイトだったので給料こそ低かったですが、社員でも労働時間は長くないので、契約社員や正社員になれば、もっとちゃんとした給料がもらえます(役職ついた人の年収聞きましたが、かなり高かった。制作会社でこの給料は絶対にありえない)。社員さんはそれなりに忙しそうだったので(といっても定時帰りですが)暇すぎるってことも少ないでしょう。
現在のフリーランス
- 労働時間
10時~19時くらい(昼休憩2時間)
※忙しい時期以外は、実際はこんなに時間がっつり仕事してない。ついついyoutube数時間見てしまうことも普通にある。 - 収入
都内で家族4人養うくらいは余裕 - 忙しさ
波があるが、やることは常にある。
※多分ダラダラ仕事してるからだと思う・・
ただ、どんなに忙しくても20時には終えられる。
こう見ていくと、フリーランスか、インハウスデザイナーが一番ラクで収入が良いのが明らか。グラフィックデザイナーって絵が好きな人にとって、最も現実的な職業。それだけに、飽和状態というか、安く働かせている現実。
最初の数年我慢すれば、希望はある
未経験だったら、まずは制作会社が入りやすいし、勉強にもなるのでおすすめ。最初は少しつらいけど、数年勤めたらインハウスデザイナーに転職するか、少しコネが出来ていたらフリーランスになるか、という道がおすすめ。
ただし、制作会社でもブラックは避けるべき。少しも続かない。
最初は制作会社を数年は経験する必要があります。この業界、ブラックな会社が普通に多い。適当に検索した会社だとブラックな会社に当たる可能性が高い。それだと数ヶ月も続きません。適当に検索した会社に応募するのは危険。
ブラックな制作会社を避けたければ、
大手転職エージェントから応募することをおすすめします。
転職エージェントにはガチなブラック企業は存在しません。ある程度ちゃんとした会社じゃないと双方にメリットが無い仕組みなので。なるべく理想の会社に出会えるように、複数登録しておくことをおおすすめします
デザイナーに強い転職サイト・転職エージェント3選
- 【マスメディアン】
※インハウスデザイナー求人有り
マスメディアンは、宣伝会議、販促会議、ブレーン、広報会議などクリエイティブ関連書籍で有名な60年の歴史がある「宣伝会議」のグループ会社。マスコミ関連に特化した転職エージェントだけあって、独自の求人があり、質の良い求人が多め。 - マイナビエージェント
※インハウスデザイナー求人有り
とにかく質が良い求人が特徴、量も結構あります。有名大手企業の求人が並ぶので安心できる転職エージェントだと思います。非公開求人も多いので、登録しておくことをおすすめします。20代〜30代の方向けの転職エージェントです。 - doda
※インハウスデザイナー求人有り
求人数が多いのが特徴。WEBデザイナーはもちろん、グラフィックデザイナーの求人も多くあります。転職サイトと転職エージェントが一体になっているので、求人検索をして応募もできるし、エージェントから求人の紹介もある。サポートが手厚いので、理想の求人にたどり着きやすい。
※マイナビのプロモーションを含みます。
グラフィックデザイナーやめとけ、というのは一部の切り取りなので、断片だけで判断しないことが大切です。
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