以前大手インハウスデザイナーとして2年勤務したことがある僕が伝える、インハウスデザイナーの楽しいところ。自分でビジュアルを作りたい、デザインを追求したい。という人には向かないが、ビジュアルも含めてトータルでディレクションしたい人にとっては楽しいと思います。
インハウスデザイナーの楽しいところは、プロジェクト全体をデザインできること

みんなで一つのプロジェクトを成功させる。
デザイン会社では経験できない別の楽しさがある。
プロデューサーがいて、プランナーがいて、デザイナーがいて、営業がいて、そんな中新しいプロジェクトが立ち上がります。種のような段階からアイデア、意見を出し合い、徐々に形になっていく、まず、ラフを作ってみて、プロデューサー、営業など幅広い視点からの意見を聞きながら、ビジュアルを仕上げていく。内容によっては外部デザイナーを選定してお願いすることもあるし、自らデザインすることもある。
展開を考える、ビジュアル作って終わりじゃない、その後の展開まで話し合う。どうやったら成功するか。その後は、いざ実行。実行したら終わりじゃなくて、その後はユーザーの反応をみながら、さらに展開していく、広げていく。
「デザイン」の意味って見た目を作るだけじゃない。「設計」や「計画」という意味もあります。商品の設定、ターゲット、どう売るか、コンセプト作り、企画から発売、その後のユーザーの反応まで。最初の最初から、最後の最後まで全てにデザイナーとして関わることができます。
いろんなパターンがあるので、大手雑貨メーカーでインハウスデザイナー時代に携わった例を紹介します。
経験談:ヨーロッパの、とあるブランドの生地の権利を買い取り、それを展開するプロジェクト

海外には日本で取り扱うことが出来ない生地ブランドというものがたくさんあります。布の輸入販売はできても、勝手にその布を使って商品を作ってはいけない。当然ですが権利がありますからね。
その生地の権利を取得し、日本でオリジナル商品展開するというプロジェクト。どんな商品をつくるのか、ターゲットは?どこで売る?このあたり全てに携わる。
その権利を取れるかもしれないということで、プロデューサーや営業と共に、生地ブランド本社がある現地ヨーロッパに出張。交渉の末、無事権利を取得することに成功します。
日本に戻った後は、現地で調達したいくつか生地サンプルをもとに、商品企画を考える流れですが、商品の方向性的にアパレル系の雑貨など、専門外のもの多いため、外部デザイナーにお願いした方が良いと判断。外に発注します。
ひとまずラインナップとして出たものは、バッグ類、布貼りノートなどのステーショナリー、ミトンやエプロンなどのキッチン用品など。これらをイメージビジュアルとして誌面で表現します。それを元に、方向性が合ってる企業に営業をかけていきます。基本的に大手企業なので、売り方も大きく展開しないといけません。小さなセレクトショップにちょこっと置かれる程度じゃダメで、大手セレクトショップにズラッと展開されなければいけないのです。
「某布ブランド×大手セレクトショップ」というコラボでの共同で商品を作る売り方に決定。
コラボ先を探すべく、様々な会社に営業をかけます。すると、とある一つの企業が興味をもってくれました。企業コラボが実現するかも。その為にプレゼン資料を作りながら、実際のバッグサンプルを作りにことに。鞄専門メーカーに依頼、試作が出来たとのことで確認しに行きます。その場で試作を見ながら一部直してもらったり、部品など組み合わせを考えたり。鞄作り職人の話を聞いたり。
グラフィックデザイナーであるものの、このプロジェクトの場合、手を動かすことってほとんど無いですよね。商品イメージを作る時くらい。でも、デザイン会社じゃ絶対できない体験だらけ、楽しいに決まってます。
発売後したら終わりではなく、次は別のコラボ先を探し、別の落とし込み方を企画、提案しながら、ブランドを育てていく。どんどん広がっていくことを感じられるのがインハウスデザイナーの楽しいところ。ビジュアル表現のみにとどまらない、広い仕事ができる。
インハウスデザイナーが楽しいと思える人とは

- みんなで作り上げるのが好き
- ブランドや商品を育てていくことに喜びを感じる
- デザインで手を動かすより、ディレクションや全体のコーディネートをしたい
みんなで作り上げるのが好き
プロデューサーや営業、品質管理といった様々な業種の人と関わり合いながら、時には外注したりしながら皆んなの意見を聞きながら作り上げていく。幅広い視点からの意見は、多くの発見があり、大きな経験値になります。
作り出したものを育てていく
世に出たら終わりではなく、反応はどうだったか、数値として結果を確認する。インハウスデザイナーでもないかぎり、毎回数字が確認できるなんてことは無いです。数値として結果が見えることで、具体的な改善箇所が見えてくる。また、新たな展開を企画したり、一つのブランドを継続的に育てていく。
全体をディレクション、コーディネートしたい
デザイナーというより、ディレクターやコーディネーター的な仕事が多くなってくるのがインハウスデザイナー。最初の頃はデザイナーとして、サブ的なデザイン(メインビジュアルの展開や、POPや販促物など)が多いですが、徐々に経験を積むことで、メインビジュアルを作る、凝ったデザインを任される、ではなく、プロジェクトの企画立案からディレクションといった業務が中心になってきます。手を動かすことは減って、ディレクター的なポジションになってきます。
1つのプロジェクトに対する熱量が高い
作っては納品、作っては納品を繰り返すデザイン会社とは異なり、1つのプロジェクトを丁寧に育てていく感覚が強いので、熱量が高くなります。
インハウスデザイナーは、人によっては天職
もし自分に合ってるかも、と思ったら、話を聞いてみるだけでもおすすめです。今すぐ応募しなくても、転職エージェントならそういった相談にものってくれます。
ちなみに大手がおすすめです。中小企業は当たり外れが大きすぎで危険です。
大手インハウスデザイナーの募集がある、
おすすめ転職エージェント
- 【マスメディアン】
マスメディアンは、宣伝会議、販促会議、ブレーン、広報会議などクリエイティブ関連書籍で有名な「宣伝会議」のグループ会社。質の良い求人が多め。ここもインハウスデザイナーを募集していることが多いです。 - マイナビエージェント
大手インハウスデザイナー求人が多いです。非公開案件も多いので、登録しておくことをおすすめします。大手エージェントなので、求人先に変な企業が無いことが安心できます。
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